天候は曇りだが、気温は昨日より高く、風もそれほど冷たくない。
残すスタンプも残り8つとなり、何も起こらなければ今日中のゴールは確実だろう。
滞在期間は明日までだが、今日中に終わらせてしまえば、問題無いだろう。
ホテルの目の前にあったガソリンスタンドで給油して、「おびら鰊番屋」に出発。
出発してすぐに車体がフラフラする事に気付き、車体を止めてタイヤを確認してみたら、リアタイヤの溝が無いどころか、既にワイヤーが見えている状態。これじゃゼロ部山どころかマイナス谷だ。
出発前に、フロントよりリアの方が溝が沢山残っていたのに、先にリアタイヤが逝ってしまうとは意外だ。
やはり駆動輪にかかる負担は相当なものなのか?
これ以上タイヤに負担をかけると、バーストの危険すらあるので、とにかく慎重に進む。
昨日の立ちゴケから、お腹が空くと予想外に力が出ないという事を学んだので、途中の「森と湖の里ほろかない」で蕎麦を食べた。この辺りはそば粉の生産量が日本一らしい。
稚内から旭川に抜けるために、維文峠を通ったら、またもや途中でダートコースに突入。
こんな状態のタイヤで通ったら、パンクしてしまうのでは?と思ったが、距離が3kmちょいしかなかったため、無事通過できた。
旭川市に入ってから、どういうわけか急激に気温が下がり、雨が降ってきてしまった。
まだ昼間だというのに、夕方のように辺りは暗い。
路面が濡れていると、ほとんどタイヤはグリップしない。
とにかく転倒だけを避けるため、さらにペースを落とす。
途中セルフのガソリンスタンドで給油したら、なんとお釣りが現金ではなくて、この店でしか使えないプリペイドカードが出てくるシステムだった。
もうこの店に寄る事なんてないのに…。
だがすぐに店員がこちらの状況を察知して、プリペイドカードを現金に変えてくれた。
今日はゆっくり走っていたためか、燃費は20km/lを超えていた。
全開走行していた時の13km/lが嘘のような燃費だ。
旭川を通っているとき、タイヤ交換のために、ヤマハ系列のバイクショップを探してみたが、見付からなかった。
ホンダのバイクショップは何軒かあったのだが、TMAXの14インチという特殊なサイズのタイヤを在庫している可能性があるのは、ヤマハ系列の店だけだと考えたので、特にバイクショップに寄る事はなかった。
旭川を抜けて、今日の最終目的地である「うたしないチロルの湯」に15時30分に到着。
そう、スタンプラリー全駅制覇!8日目にしてついにゴールである。
…いや違う!まだ一つスタンプを押す欄が残っている!
札幌の「道路情報館」が残っている!しかし「道路情報館」は道の駅ではないため、全駅制覇の認定には全く関係ない。
このままここでゴールの認定を受けてしまえば、それで終わりじゃないか。
しかしこのまま空欄が残ったまま、ゴールしてしまった悔いは残らないのか?
かなり迷ったものの、やはりゲットできるスタンプはとことんゲットするべきだろうと考え、「道路情報館」も周る事にした。
まぁフェリーに乗る時に、どうせ苫小牧に行くので、その時ついでにゲットすればいいか。
ひとまず道の駅巡りは終わったので、滞在期間中にどうしても行きたい場所が道東にあったため、旭川を抜けて道東に行く事にした。
旭川に行く途中のまっすぐな一本道で、車を抜いた。
その時対向車線の遥か彼方に1台のパトカーが見えた…ヤバ!ここオレンジラインじゃん。
まぁ対向車線だし、無視しとけばいいか。と思ったが、何やらパトカーが激しくパッシングしている。
しかもすれ違ったときにミラーを見たら、なんとUターンして追跡しようとしているではないか!
ぐは!この長い直線を、GTRならともかく、普通のパトカーでバイクに追い付けると思ってるのかよ!北海道警察正気か?
しかたなくタイヤの負担を気にせずに、一気にフルスロットル!
数秒でUターン中のパトカーをバックミラーから消し去る。
しかしタイヤのグリップが全くないため、コーナーではあっさりと膨らんでいく!
このままだと命が危険だったため、5分くらい走った後普通の巡航に戻り暫く進む。
しかし途中で信号待ちに引っかかり、おとなしく待っていたら、後ろからサイレンの音が…。
まさか性懲りもなくさっきのパトカー追ってきたのかよ?諦めが悪いなぁ。
仕方なく信号が青になった瞬間にフルスロットル。
片側2車線の幹線道路に入ったので、車の間をすり抜けしまくって、サイレン音すら聞こえない領域まで一気に突き放す。
さすがにもうパトカーは追って来なかった…というか、バックミラーに写らないのでどこまで突き放したのか分からん。
しかしこの時の全開走行が響き、タイヤに物凄い負担をかけてしまった。
旭川市街に入ったので、タイヤを交換できそうなバイク屋を探す。
スズキ系列のバイク屋に入ってみた所、タイヤの在庫は無いが、元YSPだったバイク屋が近くにあるので、そこなら在庫があるかもしれないという事だったので、早速行ってみる事に。
だがしかし、元YSPといえども、TMAXの14インチタイヤなんて在庫していなかった。
というか、北海道のバイク屋は基本的にタイヤの在庫を持っていないらしい。
多くのライダーが、北海道ツーリングでタイヤを消耗し、交換も出来ずに困るらしい。
それにしても、なぜこんなにもタイヤが激しく消耗したのだろうか?
TMAXのタイヤは結構持ちがよいとされ、通常のツーリングなら1万5千kmくらいは楽に持つ。
3万kmまで無交換で走った人も居るくらいだ。
それが今回北海道に来てから、7部山近くあったタイヤが、僅か3千kmでほぼタイヤの溝がなくなってしまった。
バイク屋の店長の話によると、それにはちゃんとした理由があるらしい。
まずは、北海道のアスファルト自体が、積雪地帯のためグリップを重視して目が粗いため、通常のアスファルトよりタイヤを多く消耗するらしい。
さらに、北海道に来るライダーは大抵の場合、リア部分に多くの荷物を積載している。これにより前後の重量バランスが崩れ、よりタイヤの消耗が激しくなる。
バイクのタイヤは6部山を過ぎるとあっという間になくなる。山が残っているからといって、安心しているとあっけなく溝がなくなる。
これに北海道のタイヤに負担をかける全開走行が加われば、通常の3倍のスピードで減るタイヤの条件がそろうわけである。
「北海道に来る時は、タイヤを新品にしてから来ないと駄目だよ」と言われたが、いまさらそんな事言われてももう遅い…。
ワイヤーが見えている状態のタイヤで、ハイスピードコースが連続する道東なんかに突入したら一たまりもないだろう。
なんとかどこかでタイヤを交換できないか?とお願いしてみた所、「旭川にはタイヤの在庫はないが、札幌ならタイヤの在庫があるかもしれない」とのお返事が。
早速札幌の問屋に問い合わせをしてくれ、なんとかタイヤの在庫がある事を確認。
しかし17時を過ぎているため、もう本日の出荷自体が行われないらしい。
しかも明日から土日の週末のため、問屋自体が休みで出荷業務自体が停止してしまう。
明日の夜に北海道を発つというのに、それでは意味がない。
もう道東に行くのは諦めるしか無いのか…。
それを汲み取ってくれた店長が、なんと札幌のバイクショップに連絡して、バイクショップ自ら問屋にタイヤを朝一で取りに行き、交換作業をしてくれる手筈を整えてくれた。
問屋もタイヤを取りに来てくれるなら、渡しても言いといってくれたらしい。
札幌から道東までは遠いが、ワイヤーが出ている溝の無いタイヤで走るよりは遥かに安心だろう。
店長にお礼を言って、今日は札幌まで戻る事にした。
旭川から札幌までの国道は、道の両脇に店が建ち並び、北海道とは思えないほど発展している。
まるで首都圏の国道を走っているようで、道東のように、50km以上何も無い区間が続くという事は無い。
この区間を走っている限りは、北海道に来ているという事実を忘れてしまいそうだ。
途中信号待ちで先頭に出て止まっていたら、信号が青になった途端に対向車線の先頭車両が赤いランプを回した。パトカーだ!
そしてその場でUターンを開始し、行く手を遮るパトカー。
まさかさっき振り切ったパトカーに手配されていたのか?!ヤバイ!この状況じゃ逃げるのは一苦労だ!
と一瞬焦ったが、パトカーがロックオンしていたのは、信号が赤に変わる寸前に飛び込んできた軽トラだった。
よく考えたら、もうすっかり日は落ちて辺りは暗いし、ナンバーも控えられていないのに、どうやって手配車を特定できるんだ?
それに、白バイならともかく、パトカーでバイク捕まえられる訳無いし…。
札幌のホテルに向かう途中、後ろから消防車がやってきた。
そのまま今日泊まる予定のホテルの方向に向かっていく消防車。
「まさか今日泊まるホテルが火事じゃないだろうな」等と笑ったが、消防車は脇道にそれていく事もなく、延々10km以上消防車と併走する事に。
「まさかね…」と思ったが、今日泊まる予定のホテルが目に入って来た時、何か違和感を感じた。
辺り一面に煙が立ち込めているのだ!
「冗談だろ!」と思ったが、消防車はホテルを素通り。そのまま5kmほど離れた場所で停車した。
どうやら燃えていたのはホテルではなくて、5kmほど離れた場所にあるビルだったらしい。
それにしても、凄い煙だ。道路は霧がかかったように見通しが悪い。
消防車を追いかけて、ホテルを通りすぎてしまったので、そのままホテルの先にある「道路情報館」を目指す事にした。
ここは24時間開いているので、あっさりと最後のスタンプをゲット。
ちなみに、今日泊まるホテルは、上陸した初日に泊まったホテルと同じで、北海道に来てから泊まるのは既に4回目だ。
このホテルから、「道路情報館」までは10kmちょいしか離れていない。
一番近い場所にあるスタンプのゲットが一番最後とは皮肉なもんだ。
ホテルにチェックインし、部屋に入ってみてビックリ。
シングルかと思いきや、ダブルの部屋になっている。
勿論料金は今までと同じ3千円である。
4回も泊まったからレベルアップしたのか?
さらに大浴場の男湯と女湯が入れ替わっていて、今までと違う雰囲気のお風呂が楽しめた。
このホテル、綺麗だし広いしインターネット専用線付いてるのになんでこんなに安いんだ?何か理由あるのか?
・今日の戦績(525km)
おびら鰊番屋
森と湖の里ほろかない
とうま
あさひかわ
ひがしかわ「道草館」
ライスランド深川
うたしないチロルの湯
道路情報館
いよいよ明日は滞在最終日。
果たして最終日に待ち受ける出来事とは…。
この物語はフィクションです |